日中協会設立の経緯

  • 2013年12月、二代理事長・白西紳一郎が生前「日中協会設立の経緯」として記したものです。
  • 現在は当協会において貴重な資料となっております。
    (当時は社団法人)現在との相違は注釈※にて追記しております。

1975年9月29日、日中協会はホテルニューオータニにおいて設立総会を開催。
その後、1981年3月5日、外務省中国課所管の社団法人日中協会として衣替えし今日に至っている。

(現在は、外務省モンゴル中国課所管)※1
(任意団体) 昭和50年(1975年)9月29日
(社団法人化)昭和56年(1981年)3月 5日
1970年春、後に、日中協会設立時に代表世話人の一人となった岡崎嘉平太氏(日中覚書貿易事務所代表、元全日本空輸社長)は、同じく代表世話人の茅誠司氏(元東京大学学長)、門脇季光氏(元外務次官、当時、ホテルニューオータニ社長)らに、「私が得た情報によれば、近く米国のエドガー・スノー氏が訪中する。

そうなれば、米国と中国との関係は劇的に変化する。

日本と中国は国交正常化を急ぐ必要がある。
今の民間友好運動は、社会党・共産党・総評・一般市民等どちらかといえば、左の勢力によっている。

国交正常化すれば、外務省・自民党・経団連等も友好運動に参加し、国民的合意の形成を図る必要がある。

「現在、日中友好協会等熱心な方々がいるが、外務省等を含む広範な人々を結集した新しい組織を作ろうではないか。日中協会を組織しよう」と提案し、合意を得た。

 

2年近くの準備を経て上記3氏の他、河野謙三、保利茂、竹入義勝、土光敏夫、日向方斉、春日野清隆、井上靖、團伊玖磨、高峰秀子氏ら46名の<世話人>を中心に、1975年9月29日、500余名の<設立発起人>が集い日中協会を設立した。

設立時の<代表世話人>は、世話人の中から岡崎嘉平太、茅誠司、門脇季光の3氏が、幹事長に田川誠一氏が就任した。
協会の運営は、<世話人会>があたった。

協会の当面の活動目標は、「日中平和友好条約」締結に向けて、国民各界の力を結集し、
<世話人会>(第1回は、1976年1月23日)
<幹事会>
を中心に、条約締結を日中両国政府に働きかけ、
そのための講演会、
『日中協会会報』(1976年4月15日創刊)の発刊、
<協会訪中団>(1977年10月)の派遣、
中国からの帰国者のための日本語教室の開催等を行った。

 

事務所は、東京都港区赤坂4‐3‐30 横川ビルに置いた。事務局は、田中脩二郎氏、白西紳一郎氏、神彰氏、波多野宏一氏ら<幹事>があたった。
協会の会報として『日中協会会報』を改め、『日中月報』を発刊した。

日中協会は、1978年8月12日の「日中平和友好条約」調印を機に、協会の法人化の準備に入り、1981年3月5日、伊東正義外務大臣時に、社団法人日中協会となった。

協会の姉妹組織として、1976年9月以降、<茨城県日中協会>、<兵庫県日中協会>、<愛知県日中協会>、<石川県日中協会>、<九州・山口日中協会>、<大阪日中協会>が相次いで発足した。

 

社団法人化後の会長・理事長は、次のとおり。※2

初代会長/茅 誠司(元東京大学学長)(1981年3月~1988年6月)
二代会長/向坊 隆(元東京大学学長)(1988年6月~2000年7月)
現在会長/野田 毅(衆議院議員、元自治大臣)(2000年7月~)
初代理事長/野田 毅 (1981年3月~2000年6月)
現在理事長/白西 紳一郎 (2000年7月~)

 

社団法人日中協会設立趣意は、次のとおり。

 日本と中国の間の国交が正常化されて満八年を迎えた。この間、両国の関係は、日中平和友好条約の締結、首脳の相互訪問によって、一段と緊密さを増し、八十年代の友好協力関係に明るい展望がきりひらかれた。

日中協会は、この日中新時代にあたって、末永い両国の健全な発展には、政府関係の緊密化とともに広く国民各界の良識を結集する民間機関の役割もますます重要性を増していると考え、協会機能を強化するうえで、法人化(社団)をはかることを決めた。

社団法人日中協会は、不動の日中友好基盤を固めていくために、広汎な国民各界の力を求め、日中平和友好条約を基礎に、両国の友好と相互理解・信頼を増進させ、日中問題に関する国民的合意の形成をめざして、定款第4条に掲出した諸事業を推進し、日本とアジア、世界の平和繁栄に貢献したいと念願するものである。

昭和55年12月19日  社団法人 日中協会

1979年7月4日、第1回<日中クラブ>を開催、佐藤正二・前駐中国大使が「日中平和条約締結の大任を終えて」と題して講演した。
これには、設立発起人の他、一般市民の会員ら100余名が出席した(於/日本海運倶楽部)。

<日中クラブ>は2013年9月現在、162回を重ねており、
協会の姉妹組織として<広島日中クラブ>、<名古屋日中クラブ>、<関西日中クラブ>、<京都日中問題時事懇談会>、<九州日中クラブ>と拡大している。

※1 平成26年(2014年4月1日)一般社団法人化(内閣府所管)

※2 2021年5月現在、一般社団法人化後の会長・理事長は、次のとおり。

現在会長 /野田 毅(衆議院議員、元自治大臣)(2000年7月~)

二代理事長/白西 紳一郎 (2000年7月~2017年10月急逝)
三代理事長/服部 健治(中央大学ビジネススクール名誉フェロー)(2018年6月~2021年5月末)

現在理事長/瀬野 清水(元重慶総領事)(2021年6月~)